株式会社ZOZO NEXT(本社:千葉県千葉市 代表取締役CEO:金山裕樹 以下、ZOZO NEXT)、東京大学大学院情報学環(所在地: 東京都文京区 学環長:山内祐平)筧康明研究室(主宰: 筧康明教授)、株式会社 細尾(本社:京都府京都市 代表取締役社長:細尾真孝)の共同研究プロジェクト”Ambient Weaving”が、EU Commissionが主催する「STARTS Prize 2022」にてHonorary Mention(栄誉賞)を受賞いたしました。また、9月にオーストリア・リンツで開催されるメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ」にて本プロジェクトの作品を公開いたします。
「STARTS Prize」は、オーストリアで活動する世界的なクリエイティブ機関「アルスエレクトロニカ」が欧州委員会からの任命を受けて、アート領域における実践的な科学やテクノロジーのコラボレーションの推進を目的に実施している賞です。欧州大陸が直面する社会的、環境的、経済的な課題の解決に貢献する人々やプロジェクトに焦点をあて、サイエンス、テクノロジー、アートを横断する革新的なプロジェクトに対して授与されます。
今回、共同研究プロジェクトの成果であるスマートテキスタイル“Ambient Weaving”が、伝統工芸と先端テクノロジーを組み合わせたユニークなプロジェクトチームとアプローチにより、表現と技術の両面において新たな美を追求したことを評価され、Honorary Mention(栄誉賞)に選ばれました。
“Ambient Weaving”は、2020年よりZOZO NEXT、 東京大学、細尾による共同研究プロジェクトとして開始した、伝統工芸と先端素材およびインタラクション技術を組み合わせ、機能性と美を両立する新規テキスタイルの開発に関する共同研究プロジェクトの成果物です。本プロジェクトでは、西陣織の構造や意匠に先端素材やデバイスを掛け合わせることで、周囲の環境情報と織物を媒介する様々な機能と表現の両立を試みてきました。その中で、従来の染色プロセスでは塗工困難な色域の温度応答性色素を定着させた引箔、布に織り込めるほど薄くしなやかな発光・透明度変化デバイスなど、動的に見た目や特性を変化させる機能を西陣織の上に付与した、新たな意匠性を有するテキスタイル制作と要素技術開発を実現しました。“Ambient Weaving” とは、この取り組みの中で生み出された「環境情報を表現する織物」「環境そのものが織り込まれた織物」を指します。
「伝統工芸の分野において老舗の名匠になるというのはどういったことでしょうか。それは時代を超えて最先端を走り続ける大胆な姿勢であり、ドラスティックな変化を厭わない姿勢です。時代の先端技術を取り入れ、価値を再発明し、未来を示すような価値創造の「名匠」になれるかどうか。その結果生み出される圧倒的な美しさが、時代を超えて愛される源となることでしょう。
1200年の歴史を持ち、日本の絹織物の最高峰とされる西陣織。1688年創業の細尾は、京都の西陣織の老舗です。その細尾が、東京大学の筧康明研究室と、最先端技術をファッション領域に応用するテック企業である、ZOZO NEXTと手を組みました。細尾が織物技術や美の追求、布の歴史的検証を行い、筧教授のチームがインタラクションデザインや情報技術、ZOZO NEXTが素材科学や事業性検証を担当し、三者がそれぞれの強みを発揮しました。
その結果、まるで呼吸をしているかのようにリアルタイムに変化し、周囲の環境と織り成すファブリックが誕生したのです。光や温度、湿度、二酸化炭素など、空間にあるさまざまな要素に反応して生地がゆるやかに変化し、自然環境を身にまとうことを可能にするのです。
そこにあるのは技術的な機能性ではなく、ただただ荘厳なオーラを放つ壮大なテキスタイルです。三者のコラボレーションが不可欠であり、誰も見たことのない完成度につながっています。次の100年を生き抜く伝統工芸の未来が、見事に示されていました。」
原文はこちら
https://starts-prize.aec.at/en/ambient-weaving/
■課題名 :伝統工芸と先端技術を組み合わせたスマートテキスタイルの開発
■共同研究先 :国立大学法人 東京大学 大学院情報学環 (研究代表者・筧康明教授)
株式会社 細尾 (研究代表者・細尾真孝)
■URL :https://ambientweaving.lab.zozo.jp/
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