2021.12.02

ZOZO研究所、AI分野のトップカンファレンス「NeurIPS 2021 Datasets and Benchmarks Track」にて共著論文採択

ZOZOTOWN実データ公開とソフトウェア実装により、意思決定アルゴリズムに関する再現可能で現実的な実験評価を実現
ZOZO研究所、AI分野のトップカンファレンス「NeurIPS 2021 Datasets and Benchmarks Track」にて共著論文採択

株式会社ZOZO NEXT(本社:千葉県千葉市 代表取締役:金山裕樹)の研究開発組織「ZOZO研究所」は、当所研究員らが執筆した論文「Open Bandit Dataset and Pipeline: Towards Realistic and Reproducible Off-Policy Evaluation(※1)」(邦題: 再現可能かつ実データに基づいたオフ方策評価に向けた大規模データセットとソフトウェアの構築)が、AI分野の国際会議「NeurIPS (Neural Information Processing Systems) 2021 Datasets and Benchmarks Track」に採択されたことをお知らせいたします。

本研究成果は、当所研究員である松谷恵とコーネル大学に在学する齋藤優太氏、粟飯原俊介氏、イェール大学助教授である成田悠輔氏によるものです。

「NeurIPS」は毎年開催される国際会議で、「ICML」「ICLR」(※2)などと並ぶ、機械学習の分野で権威あるトップカンファレンスの一つです。「NeurIPS 2021 Datasets and Benchmarks Track」は本年新設された、投稿論文に加えて提出されたデータセットや実験基盤が査読の対象となる「NeurIPS」本会議の一部門です。この度採択された論文は、2021年12月6日(月)から14日(火)にかけてオンラインで開催される同会議にて発表を行います。

研究背景

ZOZOグループが運営する「ZOZOTOWN」をはじめとするEコマース事業においては、日々変化する顧客のニーズやマーケット状況に対応するため、より効率的かつ効果の高いアルゴリズムやマーケティング施策を探究・開発し、サービスを改善していく必要があります。

ZOZOグループの研究開発組織である「ZOZO研究所」では、深層学習やバンディットアルゴリズムといった手法や、強化学習など推薦・検索アルゴリズムに関わるAI技術を研究開発しています。ZOZOグループのビジネス課題に結びついた実践的な研究開発に取り組む中で、ZOZOTOWNにおけるマーケティング施策における意思決定に活用するアルゴリズムの評価・検証をより効果的かつ効率的に行うため、本研究の着手に至りました。

論文の概要

今回採択された論文 「Open Bandit Dataset and Pipeline: Towards Realistic and Reproducible Off-Policy Evaluation」では、意思決定アルゴリズム(※3)を、実サービス環境に実装する必要なしに効果的にオフライン評価するための手段を提案しています。

これまで、新規開発した意思決定アルゴリズムを評価するには、実サービス環境にアルゴリズムを実装し、ユーザー反応を得るテストを実施することが標準的な手段として採り入れられてきました。しかし、実サービス環境での実装を行うには膨大な実装コストが必要なことに加えて、動作実績のある既存のアルゴリズムとの入れ替えによって、ユーザー体験の悪化が生じる懸念があるという課題が知られています。

そこで、実サービス環境での実装を伴わずに新しい意思決定アルゴリズムの性能を予測できるオフライン評価手法として、既存の意思決定アルゴリズムの使用を通して過去に蓄積されたデータセットを利用する「オフ方策評価」が研究されています。

オフ方策評価は研究分野として注目度の高いテーマである一方で、実用性の高いオープンなデータセットが存在していなかったため、当該研究分野の進展が妨げられている状況にありました。

こうした課題を解決する一助として、本研究ではZOZOTOWN上での実際の推薦アルゴリズムから取得された2,600万件の推薦データからなる大規模実データ「Open Bandit Dataset」と、その実装基盤となる独自開発したソフトウェア「Open Bandit Pipeline」を公開し、これまで検証が難しかった意思決定アルゴリズムの性能を統一的に評価するための実験を可能にしました。また、公開したデータセットとソフトウェアを用いることで、他のオフ方策評価や独自の意思決定アルゴリズムとの比較検証を行うことが可能です。

なお、論文に伴って公開したオープンソースの詳細は、ブログ記事「Off-Policy Evaluationの基礎とZOZOTOWN大規模公開実データおよびパッケージ紹介」やプレスリリース「ZOZO研究所、ZOZOTOWNのファッション推薦データとアルゴリズム研究開発基盤をオープンソースで公開」でも解説しています。

ZOZOグループでの取り組みと展望

今回の論文で提案した手法は、ZOZOTOWNのマーケティング施策にも導入されており、効率的なアルゴリズム開発を実現することによりクリック率や購買率向上に貢献しています。

ZOZOグループは、経営戦略として「MORE FASHION×FASHION TECH」を掲げており、保有する膨大なデータやテクノロジーの積極的な活用に取り組んでいます。ZOZO研究所は今後もAI技術を用いた推薦・検索技術をプロダクトに取り入れ、より利便性の高いサイトの構築とサービスの向上を目指し、研究・開発に努めてまいります。

ZOZO研究所について

ZOZO研究所は、「ファッションを数値化する」をミッションに掲げるZOZOグループの研究機関です。ZOZOグループが保有するファッションに関する膨大な情報資産を基に、ファッションを科学的に解明するための研究開発を行っています。

■所名 : ZOZO研究所(ZOZO RESEARCH)
■設立 : 2018年1月31日
■URL : https://research.zozo.com/


■NeurIPS公式サイト : https://nips.cc
■論文リンク : https://arxiv.org/abs/2008.07146

(※1) Yuta Saito, Shunsuke Aihara, Megumi Matsutani, Yusuke Narita. Open Bandit Dataset and Pipeline:
Towards Realistic and Reproducible Off-Policy Evaluation. https://nips.cc

(※2) 「ICML」…International Conference on Machine Learning
「ICLR」…The International Conference on Learning Representations

(※3) 入力された観測に基づいて特定のマーケティング施策を行うなど、意思決定を伴うアルゴリズムのこと。

論文に関するお問い合わせ

ZOZO研究所:zozo-research@zozo.com

報道関係者のみなさまへ

本件に関しては、こちらまでお問合せください。